昨日、東京大学駒場キャンパスで日本初開催となるオープンダイアローグ・セミナーに行ってきました。講師はフィンランドのケロプダス病院に勤務されている精神科医のKari Valtanen氏と精神科看護師で家族療法士のMia Kurtti氏です。
斎藤環さんの著書「オープンダイアローグとは何か」をきっかけに参加する機会を得ることができました。斎藤環さんを筆頭に10名の方の講演もありました。
オープンダイアローグはフィンランド西ラップランドにある人口6万人ほどの地域にあるケロプダス病院で実践されている精神(心理)療法です。この地方の精神医学の状況は1980年ごろ、ヨーロッパ最悪だったそうです。人口6万人ほどに対して精神科のベッド数が299あって、入院患者は皆慢性化しており薬に依存する状態だったそうです。これは200人に1人の割合で数年から数十年、精神病院に隔離されていたことになります。2015年現在ベット数は30になったそうです。そして新たな罹患者はここ10年は1人いるかどうかとドキュメンタリー映画の中で紹介されています。驚異的な変化です。
オープンダイアローグは数名の専門家とクライアントとその家族や親類や友人との「開かれた対話」による「信頼」と「安心」の「場」を継続することで、結果的にクライアントに治癒をもたらし社会復帰を促す療法です。クライアントを取り巻く社会状況が厳しいままであるにも関わらず、オープンダイアローグ(信頼と安心の場を築くこと)で精神的な危機的状態(精神病発症の危機)を経ても、一般的な同年代の人よりも失業率が低いそうです。
洗練された技法と訓練によって、「信頼」と「安心」の「場」を継続します。そうすることで、自然とクライアントが社会との関わりを取りもどしてゆきます。それが実践されていることに、とても希望を持つことができました。クライアントとの会話の進め方など、参考となるアイデアをちょっと見るだだけでも深いものを感じました。
カリスマ性や状況をコントロールすることとは対極にある技法で、訓練することで多くの方が日常の実践に取り入れられるのではと感じました。「安心安全な場」を共有することの大切さをあらためて感じました。
オープンダイアローグは現在、イギリス、デンマーク、ドイツ、ロシアの一部、アメリカなどで実践されています。日本でも精神科医療の専門家に注目され、学会での活動もはじまるそうです。
「ニーズ・アダプティッド・治癒モデル」という療法の発展系で、複数の専門家がチームで進めてゆく精神(心理)療法です。
ライトモードは安心安全な場の中で、クライアントさんに最優先のワークをクライアントさんの身体反応を確認しながら進めていきます。ライトモードのセッションは潜在的に、重要な存在と身体や心や思考や記憶が対話(ダイアローグ)しているのかもしれません。
A.Light